iPhone「カメラ」を段違いで便利にする方法3選
iPhone「カメラ」を段違いで便利にする方法3選
iPhoneで写真を撮るときはちょっとした工夫をすると、見栄えがぐっと上がります(筆者撮影)
初期の頃に比べると多機能化しているiPhoneのカメラだが、ピントを合わせ、シャッターボタンを押すだけで簡単に写真が撮れる特徴はそのまま。シャッター速度や絞り、露出、ISO感度といった細かなパラメーターを意識する必要はなく、カメラになじみのないユーザーでも使いこなすことが可能だ。パノラマ撮影やポートレートモードなど、機能は徐々に増えているものの、シンプルさは健在といえる。
一方で、一歩進んだ撮影をしたいと思ったら、やはりアプリが必要になる。逆に言えば、アプリ次第でさまざまな撮影が可能になるということだ。例えば、一部のスマホには、プレゼン時のスライドを撮ると、自動で台形を補正して長方形に修正してくれる機能が搭載されているが、アプリを導入すれば、iPhoneでも同様のことができる。
アプリは、シャッター音を消して撮影したいときにも便利。日本のiPhoneは、メーカーの自主規制で、シャッター音が強制的に鳴ってしまうが、静かなレストランやプレゼン中などは周りの目が気になり、撮影しづらい。こうしたときにも、シャッター音を消せるアプリを導入するといいだろう。アプリを追加するだけで、iPhoneのカメラを活用する幅が広がるというわけだ。ここでは、ビジネスシーンで役立ちそうな裏技を紹介していこう。
1. 自動で台形補正が可能な「Office Lens」
会議や講演に参加したとき、大画面に映し出されたパワーポイントのスライドを、資料として撮影しておきたいと思ったことがある人は多いだろう。後から見返すだけでなく、別の資料を作成する際に、撮った写真を使うケースもあるはずだ。ただ、着席した席によっては、スライドに角度がついてしまい、撮った写真が台形に歪んでしまうことが多々ある。
単に見返すだけなら台形のままでもいいが、後で活用するのには、やはりきちんと正面から撮ったような、長方形になっていたほうが見栄えはいい。パソコンの画像補正ソフトで修正するという手もあるが、まとめてやろうとすると、少々手間がかかってしまう。このようなときは、撮ったその場で補正がかかるアプリを使うといいだろう。
オススメなのは、マイクロソフトがリリースしている「Office Lens」というアプリ。「ホワイトボード」「ドキュメント」「名刺」「写真」から項目を選び、カメラを向けると、自動的に画面に映し出された資料を認識する。あとは、通常のカメラと同様、シャッターを切るだけ。撮った写真は自動で補正され、あたかも正面から撮ったかのような形になる。
Officeの名を冠しているだけであり、マクロソフトの各種サービスとも連携する。撮ったあと、写真が補正されるため、仕上がりを確認したら画面右下に表示されている「完了」をタップすると、保存先を選択できる。そのままiPhoneの写真アプリに保存しておきたいときは、「フォトライブラリ」を選べばいいが、PDFにしたり、マイクロソフトのオンラインストレージである「OneDrive」に送ることも可能だ。
台形の補正を自動で行う「Office Lens」(筆者撮影)
ただし、これだと手順が多すぎるため、連続で写真を撮りたいときに、撮り逃してしまう心配はある。その場合は、通常のカメラで撮っておき、Office Lensにそれを読み込ませるといい。後処理の手間はかかってしまうものの、自動で画像が補正されるため、難しいことを考える必要は一切ない。フィルターや文字を載せるなど、簡易的な加工もできる。しかも、アプリは無料。ビジネス利用が多い人は、インストールしておきたい1本だ。
2. 気になるシャッター音は「Microsoft Pix」で解決
日本で販売されるiPhoneは、マナーモードなど、音量を最小にしていても、カメラのシャッター音が鳴ってしまう仕様だ。これは、盗撮を防ぐための措置だが、あくまでメーカー側の自主規制。犯罪を防ぐ観点ではある程度有効なのかもしれない一方で、どこで撮っても、「パシャ」というシャッター音が鳴ってしまうのはデメリットといえる。接待で行った静かなレストランで料理を撮影するときや、講演のスライドを撮るときなどには、シャッター音がマナー違反になってしまうケースもある。
「Microsoft Pix」を使うと、シャッター音を完全に消すことができる(筆者撮影)
シャッターを切る前からの短い動きを記録する「Live Photos」を使えば、シャッター音は非常に小さくなるものの、ゼロになるわけではない。周囲がシーンと静まり返っていると、聞こえてしまうおそれもある。また、Live Photosは短いながらも動きを記録しているため、常時オンにしていると、メッセージアプリやSNSでシェアした際に、撮影者が意図していなかった映像や音声が相手に伝わってしまうこともある。
そこで活用したいのが、「Microsoft Pix」だ。同アプリは、シャッター音を消すためだけのアプリではなく、撮った写真の文字を認識してテキストデータとして使えたり、写っているものを認識したりといった機能を備えているが、静かに撮影したいときにも重宝する。利用方法は簡単で、撮影時にiPhoneをマナーモードにするだけ。これで、シャッターの音が一切鳴らなくなる。
撮った写真は自動的に保存され、iPhone標準の「写真」アプリで閲覧することができる。写真の画角も、標準のカメラで撮ったときと同じ4:3の比率になるため、使い勝手がいい。標準のカメラアプリのようなポートレートモードやタイムラプスのような機能はないため、シーンに応じて、どちらで撮るかを使い分けるといいだろう。
ちなみに、シャッター音は常時無効にすることもできる。「設定」から「Microsoft Pix」を開き、シャッター音をオフにすると、その設定が有効になる。ここでは、Live Photosに相当する「ライブショット」や、文字などを認識する「コンテンツの抽出」といった機能をオフにすることもできる。シンプルなシャッター音が鳴らないカメラアプリとして使いたいときは、こうした機能をオフにするのも手だ。
3. iPhoneのカメラをメジャー代わりに使う
標準で搭載されているアプリの中にも、iPhoneのカメラを活用するものがある。便利なのが、「iOS 12」から搭載された、「計測」というアプリだ。このアプリは、カメラに映った物体などを認識するAR(拡張現実)を活用したもので、アップルがアプリ開発者に提供する「ARKit」の応用例。機能は非常にシンプルで、写し出した物体の長さを測ることができる。
例えば、パソコンや机、いすなどのオフィス用品を新調する際に、今使っているもののサイズを測り、同じぐらいの大きさかどうかを検討する材料にしたり、荷物のサイズがわからないときに測って料金を調べたりと、ビジネスでもさまざまな場面で役に立つ。メジャーを使えば済む話ではあるが、つねに携帯しているとは限らないため、iPhoneに計測アプリが入っていることを覚えておいて損はない。
手元にあるものの大まかな長さを知りたいときに便利なのが、「計測」アプリだ(筆者撮影)
計測アプリは、起動したらまずiPhoneを左右に動かす必要がある。計測可能になると、画面中央に円が表示されるため、測りたいものの端が画面の中央にくるようにiPhoneを動かし、「+」ボタンをタップする。計測アプリが角などを認識すると、本体がブルっと震えて中央の点が、そこに吸い付くように動くこともある。「+」ボタンを押したら、iPhoneを動かしていくと、長さが表示される。終点まで来たら、再び「+」ボタンを押すと、物体の上に、長さが重なったままの状態になる。縦と横、両方の長さを記録しておくことも可能だ。
また、封筒のように四角い物体を認識すると、「矩形」モードに切り替わる。この状態で「+」ボタンをタップすると、縦と横、両方の長さと面積が一気に表示されて便利だ。ただし、矩形モードで使うには、物体の全体をカメラで捉える必要がある。そのため、ある程度距離を空けられるときや、小さい物体の長さを測るときに活用したい。
長さを測り終わったら、画面右下に表示されているシャッターボタンをタップしよう。これで、長さが重なった状態の写真を撮ることができる。便利なアプリだが、AR機能を使って長さを測っているため、本物のメジャーほど正確ではない。測り方によっては、数センチ単位で誤差が出ることもある。とはいえ、比較的精度は高く、筆者がパソコンや封筒、iPhoneの大きさなどを測ったときは、誤差1センチ前後に収まっていた。大体の長さを知りたいニーズは、十分満たせるはずだ。